スズキビジネス石油事業部ブログ
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石油事業部のブログをご覧の皆さん、こんにちは

潤滑油燃料課の米田です


お花見に出かけたくなる季節になりましたね


今回は、工場などで多く使用される油圧機器にとって、血液といっても過言ではない油圧作動油の商品について2回にわたり、紹介したいと思います


スズキビジネス石油事業部が取り扱う、昭和シェル石油の商品には、凄い性能を持ったテラスS3VEという油圧作動油があります


このテラスS3VE、いったい何が凄いのか


それは省エネルギーに貢献できることなんです


テラスS3VEは、新XHVIというベースオイルが使用されています


このベースオイルは通常のベースオイルとは違い、天然ガスを化学的に合成し、製造されています

そのため不純物が少なく、分子の構造が均一で安定しています


不純物が少なく分子の構造が安定しているオイルは、密度が低くなります


満員電車に乗った時、車両の端から端まで移動すると、とても大変ですよね


密度が低いとオイルが配管内をスムーズに移動ができるので、圧力損失が減り、省エネルギーに繋がるんです


さらに、テラスS3VEは、添加剤の絶妙な組み合わせによりポンプの摩擦抵抗を減らし、消費電力を抑えることができます


そして、テラスS3VEは、油の温度が低くても硬くなりにくい性質を持っている為、運転始動時の電力を削減や、冬場のウォームアップ時間の短縮に繋がり、省エネルギーの貢献できます


今回はテラスS3VEの省エネルギー性能について紹介しました


次回も、テラスS3VEの凄い性能について紹介したいと思いますお楽しみに


潤滑油の選定に関しては、是非スズキビジネス石油事業部潤滑油燃料課へお問い合わせください。

TEL : 053-448-6821



2017/03/23

こんにちは

今回は前回に引き続きグリースの基礎知識をお送りしていきます。


前回は、グリースの特徴、ちょう度、グリースの要求性能についてお話ししましたが、

今回は、増ちょう剤、基油についてお話ししていきます。


それでは早速グリースについて説明していきます。



1. 増ちょう剤


増ちょう剤とは、微細な固体で、複雑に絡み合った繊維構造をしています。

この繊維が油を抱き込むことでグリースの構造を維持しています。


 グリースの耐熱性や機械的安定性は増ちょう剤の種類に大きく依存します。

 増ちょう剤の種類としては、リチウム石けん、カルシウム石けん、ナトリウム石けん、

 アルミニウム石けんなどの石けん系と、ベントナイト、シリカゲルなどの無機物、

 ポリウレアなどの有機物があります。

 グリースはこの増ちょう剤の種類によって分類され、石けんを増ちょう剤として用いるものを

 石けん系グリースといい、それ以外の増ちょう剤を用いる場合は非石けん系グリースといいます。

 また、石けん系増ちょう剤の耐熱性を改良するため、一方に脂肪酸を、もう一方に他の

 有機酸を導入し組み合わせた錯塩石けんはコンプレックスグリースと呼ばれます。



 (1) 石けん系グリースの特徴


グリースの種類
特徴
リチウム石けんグリース

耐熱性と耐水性に優れた、バランスの良いグリース。

万能グリースとして市場で最も多く使用されている。

カルシウム石けんグリース

構造上水分を含むため、高温では水分が蒸発して

網目構造が破壊される特徴がある。

耐水性が良いが、耐熱性に劣る。

ナトリウム石けんグリース
水に溶けるため、水がある環境では不可。
リチウムコンプレックス

リチウム石けんグリースよりもさらに耐熱性に優れる。

コンプレックスグリースの中でも欠点が少ない。

アルミニウムコンプレックス

耐水性は良いが、一般的に水を抱き込みにくいので

軸受に発錆(はっせい)しやすい。

カルシウムコンプレックス

耐水性は良いものの、空気中の水分を吸収したり、

熱により硬化したりする欠点がある。






 (2) 非石けん系グリースの特徴


グリースの種類
特徴
ウレアグリース

高温での安定性、油分離が少なく、耐水性、酸化安定性も

良い。高温で硬くなり、潤滑性を失う欠点がある。

テレフタラメートグリース

高温での安定性や耐水性が良い。

油分離が大きく、不純物の結晶析出のために、

軸受騒音を大きくする欠点がある。

有機ベントナイトグリース

耐熱性が良く、せん断安定性に優れる。

200℃以上では有機処理剤が分解すると軟化し、

潤滑性を失う欠点がある。

シリカゲル

合成系基油と組み合わせると耐熱性が極めて良好となる。

防水性と防錆性に問題がある。






2. 基油


 グリースの酸化安定性、低温特性、蒸発損失などは基油によって大きく支配されます。

 基油としては、グリースの使用目的によって適当な粘度の鉱油または合成油が選ばれます。

 一般に鉱油の使用温度範囲は-30℃~+150℃程度です。この温度範囲を超える使用条件の

 グリースには合成油が用いられます。

 主な工業用途としては、合成油を基油としたグリースでは、航空機、自動車電装部品、

 事務機器、家電製品などに広く採用され、これらの用途ではグリースのゴムや樹脂との

 適合性、低摩擦、摩耗防止性が重要視されます。







グリースの基礎知識は以上となります。


次回以降は、工業分野で使われる様々なオイルについてお話ししていきたいと思います。




2016/06/02

こんにちは

前回までは潤滑油の基礎知識としてエンジンオイルのお話しをしてきましたが、

今回は、オイルではなく、グリースのお話しをしたいと思います。


それでは早速グリースについて説明していきます。


グリースとは、「液体潤滑剤(基油)と増ちょう剤からなる、半固体状または固体状の潤滑剤」と

定義されており、外力を与えない状態では、オイルのように流動することはなく静止していますが、

攪拌(かくはん)したりして外力を与えると流動する性質を持っています。

グリースの成分は、基本的には基油(原料油)と増ちょう剤、添加剤の3つからなります。


1. グリースの特徴


 グリースを用いた潤滑には、オイル潤滑と比べて次のような特徴があります。

 (1) 半固体で潤滑部のみが潤滑条件に応じて流動状になって作用し、他の部分に流れにくい。

    したがって、断続的な使用や給油が困難な箇所での使用に適する。

 

 (2) 給油装置が比較的簡単で密封が充分に行われるため、塵埃(じんあい)の多い場所、腐食性ガスの

    接触する場所での使用に適する。


 (3) グリースに含まれている石けんが金属面に吸着され、耐荷重性能を発揮する。

 

 (4) 使用温度範囲が比較的広く、基油の流動点以下の低温環境でも使用可能である。


 (5) オイル潤滑とグリース潤滑の特性比較


オイル潤滑
グリース潤滑
回転速度
低・中・高速用
低・中・高速用
回転抵抗

比較的大
冷却効果


漏れ


密封装置
複雑
簡単
循環給油
簡単
困難
ゴミのろ過
簡単
困難


2. ちょう度

 ちょう度とは、グリースの硬さを表すもので、物理的な値を示す重要なものです。

 ちょう度の分類は、NLGI (米国潤滑グリース協会)によって定められた、NLGIちょう度分類が

 代表的で、現在は国際的に標準化されています。

 下表に示すとおり混和ちょう度の値により区分され、各ちょう度グレードに分類されます。



3. グリースの要求性能

 グリース全体に共通して求められる性能は以下の通りです。


 (1) 適性ちょう度

 (2) 酸化安定性

 (3) 機械的安定性

 (4) 防錆性


さらに、使用される環境、用途によっては以下のような性質も要求される場合があります。


 (1) 低温特性

 (2) 耐熱性

 (3) 耐水性

 (4) 極圧性・耐摩耗性

 (5) 圧送性

 (6) 漏れ防止性

 (7) 軸受騒音特性



今回はここまでです。

次回は、グリースの基礎知識②として、増ちょう剤、基油についてお話していきます。





2016/05/25

こんにちは

潤滑油担当の大木です。


3回目となるエンジンオイル編ですが、

今回は、自動車用ディーゼルエンジン油についてお話ししていきます。


1. ディーゼルエンジンの環境対策装置

 (1) 排出ガス規制

   大気汚染防止のため、ディーゼルエンジンオイルは特に排出ガスに関する規制は

   段階的に厳しくなっており、短期規制(1993年)→長期規制(1997年)→新短期規制(2002年)

   →新長期規制(2005年)→ポスト新長期規制(2009年)と、段階的に実施されてきました。

   2011年現在は、ポスト新長期規制が適用されており、排出ガス規制粒子状物質(PM)および

   窒素酸化物(NOx)を新長期規制に比較して、40-65%程度削減することが義務付けられています。


 (2) PMとNOx

   排ガス中のPMとNOxは、片方を減らそうとすると片方が増えてしまう、二律背反の関係にあります。

   高圧噴射で少量の燃料を完全燃焼させることでPMの発生は防げますが、高温高圧下では、

   シリンダ内の窒素(空気)により、NOxが生成されてしまいます。燃焼時期を遅らせ、

   温度と圧力のピーク値を抑えると、NOxの生成は減らせますが、燃えカスが増えて

   PMが多くなってしまいます。

   このため自動車メーカーでは様々な工夫を行って、双方を減らしています。


2. 自動車用ディーゼルエンジン油として特有の要求性能

 (1) スス分散性

   不完全燃焼によるススや炭化物質はオイル中に混入し、凝集します。

   ススが凝集すると、粘度増加を起こし、またオイル管を詰まらせオイル供給不足となったり、

   凝集したススが研磨粉となったりし、機械的摩耗の原因にもなります。

   これを防ぐため、ススを細かく油中へ分散させる性能が高いことが必要です。


 (2) 酸中和性

   燃焼生成物として硫黄分による硫酸の発生があり、腐食摩耗の原因となります。

   また、ガソリンエンジン油と同様に酸化生成物により酸を生じるため、これを速やかに

   中和する性能が重要です。特にクールドEGRを用いる方法では、排出ガスをエンジン内に送ることで

   SOxの濃度が高くなりやすいため、エンジン油には酸中和性が必要とされます。


 (3) 低灰分、低硫黄分(DPF装着車)

   エンジン油が燃焼した際に生じる灰分がDPFを目詰まりさせてしまうことから、

   低灰分であることが必要とされます。


3. 自動車用ディーゼルエンジン油の規格

   ガソリンエンジン油と同様に、ディーゼルエンジン油にも粘度分類と品質規格があります。

   粘度分類はSAE粘度分類、品質規格はAPIサービス分類とJASO(日本自動車技術会)の定める

   JASOエンジン油規格、ACEAエンジン油規格があります。

 (1) APIサービス分類

   APIサービス分類では、ガソリンエンジンと同様、清浄分散性、腐食防止性、対摩耗性等の項目が

   評価されており、C(Commercial[商業車])で始まる番号が付されています。

   CA、CB、CC、CD、CE、CF、CF-4、CG-4、CH-4、CI-4、CJ-4と定められ、

   現在はCH-4、CI-4、CJ-4が使用されています。

   また、日本国内ではAPI規格で対応していましたが、国内と海外での排ガス規制の隔たりが大きい

   時期があったことや、エンジン設計の違いなどもあり、API規格では国内のディーゼルエンジンに対応

   するのが難しくなった時期がありました。そのため、国内ではAPI規格よりもJASO規格の方が

   よく用いられるようになりました。現在では日米欧の排ガス規制も同様になりつつあり、APIの

   最近の規格が国産エンジンに適合しない事例はないと考えられますが、試験費用が高額であり、

   依然として普及が進んでいません。


 (2) JASOエンジン油規格

   JASOエンジン油規格は、前述のような理由から日本国内向けにJASOが独自に制定した規格です。

   現在、DH-1、DH-2、DL-1の3つの分類があります。

   DH-1では、厳しい排ガス規制対応エンジンに使用できるエンジン油を定めており、

   摩擦摩耗および腐食摩耗防止、高温酸化安定性、スス分散性等の評価が行われています。

   DH-2は、DH-1の性能に加え、さらにDPFを装着した新短期以降の規制に適合した

   大型ディーゼル車向けのエンジン油規格となっています。

   エンジン油中の灰分を低く制限しているため、DPFの詰まり寿命を大幅に向上し、

   酸中和性も維持しています。

   DL-1はDPFを装着し、新短期以降の規制に適合した小中型トラック・ディーゼル乗用車に用いる

   エンジン油規格となっています。

 (3) ACEAエンジン油規格

   ACEAでは、DPF付き車両用の低灰分ディーゼル用オイル(LOW ASH オイル)として、

   C1、C2、C3、C4の4グレードを、高負荷(大型)ディーゼルエンジン用として、

   E2、E3、E4、E5、E6、E7、E9の7グレードを定めています。


以上で自動車用エンジン油についてのお話しは終わりとなります。

次回はグリースについてのお話しをしようと思います。

是非ご覧ください。



2016/02/10

こんにちは

潤滑油担当の大木です。


今回は前回に続き、自動車用ガソリンエンジン油についてのお話しをしていきます。


1. 自動車用ガソリンエンジン油として特有の要求性能

 (1) 排ガス浄化触媒を侵さないこと

   三元触媒(※1)を侵すため、リン分、硫黄分を抑えることが要求されます。

 (2) スパークプラグを汚損しないこと

   これは、特に2サイクルガソリンエンジン油(※2)に要求される性質です。


※1 三元触媒とは、自動車の排ガス中に含まれる有害物質を除去するための触媒装置です。

※2 現在2サイクルエンジンは、排気ガス規制や騒音規制の強化に伴い、製造されることは少なくなっています。


2. 自動車用ガソリンエンジン油の規格

  ガソリンエンジン油を選ぶ際に重視される規格には、粘度を示すSAEの粘度分類と、

  品質を示すAPI(米国石油協会)のサービス分類、ILSAC(国際潤滑油標準化認証委員会)による

  ILSAC規格、ACEA(欧州自動車工業会)によるエンジン油規格等があります。

 (1) APIサービス分類

  APIの定めるAPIサービス分類では、酸化安定性、清浄分散性、耐摩耗性、防錆性、腐食防止性等の

  性能を評価しています。自動車用ガソリンエンジン油では、S(Service)で始まる規格番号が

  付されており、SA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、SH、SJ、SL、SM、SNと定められ、現在はSH以前の

  規格は廃止され、SJ、SL、SM、SNが使用されています。評価試験に合格し、APIが承認したオイルには

  ドーナツマークを表示することができます。


 (2) ILSAC規格

  ILSAC規格は日米の自動車工業会が定める品質規格です。

  ILSACでは、主に省燃費性能、環境性能などの環境配慮に関係する項目が追加されています。

  ILSACの認定には、APIのサービス分類合格が前提となっており、APIよりもさらに厳しい基準と

  なっています。合格したオイルには、スターバーストマークを表示することができます。


 (3) ACEAエンジン油規格

  ACEA(欧州自動車工業会)が定めている規格です。API規格では新しいエンジンに適合しなくなった

  古いグレードは順次廃止されていきますが、ACEA規格ではグレードごとに目的や対象となる

  エンジンが明確に分けられており、エンジンの要求に合わせて各グレードの基準が個別に更新

  されていきます。ガソリンエンジン用としてA1、A2、A3、A5の4グレードがあり、

  軽負荷(乗用車)ディーゼルエンジン用としてB1、B2、B3、B4、B5の5グレードがあります。

  A1-02、A2-96、B1-02、B3-98というように、「グレード表示-基準が制定・更新された年度」で

  表記されています。ACEA2004より、AカテゴリとBカテゴリは統一され、Ax/Bx表記となり、

  ガソリン・ディーゼル兼用規格となっています。



ガソリンエンジン油についてはここまでです。

次回は、ディーゼルエンジン油についてお話ししていきます。




2016/01/27

こんにちは。

潤滑油担当の大木です。


前回まで3回に分けてお送りしました“潤滑油の基礎知識”の続編として今回から、

具体的な用途に分けて様々な潤滑油についてお話しをしていきたいと思います。


まずは、エンジン油です。


一言でエンジンと言っても、エンジンには様々なものがありますが、自動車用エンジンを中心にお話ししていきます。

まず今回はガソリン、ディーゼル共通項目について、第二回目はガソリンエンジン、

第三回目はディーゼルエンジンについてと3回に分けてお送りしていきます。


それでは、第一回目のガソリン、ディーゼル共通のお話しをしていきます。


エンジン油には大きな役割として、各部分の潤滑、シリンダ壁とピストンの密封、高熱部分の冷却があります。

軸受、ピストン、動弁系各部分の摩擦を少なくし、摩耗を防止しています。

また同時にシリンダ壁とピストンの隙間を密封する、いわゆるブローバイ(吹き抜け)防止や高熱部を冷却するのも

重要な目的のひとつです。

ブローバイが起きると、出力低下につながり、またエンジンが冷却されないと性能低下にはじまり、各部に

一層の熱変形や潤滑切れが進み、ガスケット抜け、カジリ、焼付きを起こすだけでなく、火災に至ることもあります。


各種エンジンに共通して求められる性能は以下の通りです。


①適性粘度

 エンジンが高温になっても密封作用、潤滑作用を行うとともに、寒冷地でも容易に始動できるためには、

 適性粘度の油を使用することが必要です。

 粘度が適性でなければ、摩耗を起こしやすくなります。

 一般に潤滑油は粘度が低い程、粘性抵抗が少なく効率が良いですが、適性粘度を下回ると油膜が薄くなり

 摩耗や焼付きの原因となります。

 低燃費車では、低粘度油の使用が燃費向上の一助となっています。

 これは、粘度の低いエンジン油を使用しても摩耗や焼付き等のトラブルが起きないような設計になっています。

 したがって、低粘度油推奨車以外の車に低粘度油を使用してしまうと、摩耗などのトラブルが起きる恐れがあるので

 注意が必要です。

 

②粘度指数

 粘度指数が高いと温度変化に対する粘度変化が少ないので、常に適性な粘度が得られ円滑な

 潤滑作用が得られます。

 特に粘度指数の高い油として、マルチグレード油があります。


③酸化安定性

 エンジン内温度が高いと油は酸化されやすくなり、酸化されると不溶解分、ワニス分、腐食性酸性物質が生成します。

 特にピストンリング溝部は厳しい条件です。

 このような劣化生成物質がクランクケース内にたまってスラッジを作るのを防止し、エンジン各部を清浄に保ち、

 また金属が酸性物質によって腐食されるのを防止するためには、オイルの酸化を抑えることが重要です。

 オイルの酸化を抑えるために酸化防止剤が用いられます。


④清浄分散性

 不完全燃焼によってできるススや炭化物、スラッジなどがエンジン各部に堆積すると、

 色々な障害が起こります。

 ピストンリングに固着してリングの動きが阻害されると、ブローバイが起き出力低下やエンジン焼き付きに

 つながります。また、オイルストレーナーがスラッジで詰まると油が供給されなくなるので、

 エンジンの焼き付きにつながることもあります。

 そのため、オイル劣化物の沈着を防止し、油中に分散される性質、すなわち清浄分散性を高めるために

 清浄分散剤が添加されます。


⑤耐摩耗性

 エンジン内部では、動弁系やシリンダライナー部には混合潤滑領域が存在するので、

 耐摩耗性に優れている必要があります。

 これによって、エンジンの寿命を延長させることができます。


⑥腐食防止性

 酸化生成物や水の混入によって、軸受メタルが腐食されるのを防止する性質を持つことが必要です。

 軸受メタルは軸を滑らかに回転させる役割を持っています。

 ディーゼルエンジンでは、鉛-銅合金等でできていることが多く、このメタルが油中の酸性物質によって

 腐食されると、鉛が溶け出してしまい、ヒビが入るなどの故障の原因になります。

 一方、ガソリンエンジンでは、負荷条件がディーゼルエンジンよりも軽いため、環境問題から

 メタルの材質はアルミニウムが多く使われるようになっています。



ガソリン、ディーゼル共通のお話しはここまでです。

次回はガソリンエンジン油についてのお話しをしますので、是非ご覧下さい。



2015/11/30


こんにちは


潤滑油担当の大木です


前回の潤滑油基礎知識第二回目からだいぶ間があいてしまいましたが第三回目をお送りします。

今回も前回同様、専門的な話となります。興味のある方は是非読んでください。

 


 


第三回となる今回は、“潤滑油の要求性能”についてのお話しとなります。 


 



潤滑油を使う目的は、機械の摩擦する部分を潤滑して摩擦を小さくし、焼付きや摩耗を防ぐとともに

動力の消費を少なくし、機械の効率を良くすることですが、そのほかにも実用上いくつかの役割を果たしています。

一般に、機械の潤滑では次のような働きが求められます。


(1)減摩作用

 摩擦を小さくし、機械の摩耗を極力減らす作用で、潤滑作用のうち最も大切な働きです。


(2)冷却作用

 摩擦によって生じる熱や外から伝わってくる熱(たとえばエンジンの燃焼熱)、

 または金属を切削する時の切削熱などを吸収して外に運び出す作用で、減摩作用の次に大切な働きです。


(3)密封作用

 機械の滑動部分を密封する作用をいい、エンジンを例にとると、この作用はシリンダ内の潤滑に必要で、

 燃焼ガスの吹き抜けを防ぎます。


(4)防錆作用

 空気中の酸素や水、または腐食性ガスなどによって潤滑面が錆びるのを防ぎます。


(5)洗浄作用

 潤滑部分の不純物(たとえば燃焼によるススや炭化物、または摩耗金属など)を洗い落とす作用をします。


(6)防塵作用

 外から不純物が入ってくるのを防ぎます。


(7)力学的分散作用

 潤滑部分にかかる圧力を局部に受けさせずに、分散し、平均させる作用をします。




潤滑油に要求される性能は、その用途によって異なりますが一般的に求められる性状については次の通りです。

専用油ではこれらの要求性能に優先順位をつけ、基油の選択や添加剤の働きにより、その性能を付与または

拡大、強化しています。


(1)粘性(粘度)

 良い潤滑状態(流体潤滑)を保つためには、摩擦面の諸条件に見合った適正粘度の潤滑油を選ぶ必要があります。

 粘度が高すぎると粘性抵抗による摩擦が大きくなり、低すぎると油膜を保持できず、金属同士の接触が

 生じてしまいます。摩擦の減少だけでなく潤滑部分の密封、冷却の効果も粘度によって異なりますので、

 適正粘度の潤滑油を選ぶことがとても重要となります。


(2)減摩作用、耐摩耗性、耐荷重性能

 荷重の極端に大きい場合や機械の運転条件によっては、金属同士の接触が生じてしまう

 混合潤滑、境界潤滑となります。このような条件で減摩作用は摩擦を下げる性能、

 耐摩耗性は焼付かない条件において摩耗を防ぐ性能、耐荷重性能はより接触圧の

 高い条件で焼付かずに耐えられる性能を表します。これらをまとめて、潤滑性ということもあります。

 これらの性能は、それぞれの機械箇所ごとに、どの性能がどの程度重視されるか異なります。


(3)熱・酸化安定性

 潤滑油は空気中の酸素により酸化、劣化を起こします。また、摩擦熱や外部からの伝熱により、

 酸化反応が促進されます。潤滑油を長時間使用するためには、この酸化に対する抵抗力、

 すなわち熱酸化安定性のよいことが要求されます。


(4)清浄分散性

 内燃機関などで燃焼ガス中から混入したススや潤滑油劣化物の付着を防止するとともに、

 油中に微粒子のまま拡散させて、スラッジの生成を防ぐ働きのことを清浄分散性を言います。

 この性能は特にエンジン油で要求されます。


(5)防錆性、腐食防止性

 金属は空気中の酸素や湿気(水分)により、錆が生じやすくなります。また、腐食性ガスや油の劣化により生じた

 酸性物質と触れることでも、金属は腐食します。したがって、潤滑部分から錆と腐食の発生を防止する性能が

 潤滑油には要求されます。


(6)低温流動性

 潤滑油は温度変化に対して粘度変化の少ないものが望ましいですが、機械の使用温度範囲が低温に及ぶ時は

 低温時における充分な流動性が要求されます。


(7)消泡性

 潤滑油は軸受や歯車などの使用中に、攪拌によって空気の細かい泡が油中に入ってきます。

 摩擦面に気泡が入ると油膜切れを起こし、潤滑不良となります。したがって、潤滑油には泡立ちにくく、

 また泡ができても消えやすい性能が要求されます。


以上で第三回目となる“潤滑油の要求性能”についてのお話しは終わりとなります。




今回まで三回にわたってお送りしてきた潤滑油の基礎知識はいかがだったでしょうか?

今後は、エンジン油や作動油、ギヤ油といった専用油やグリースなど具体例を取り上げて

情報を発信していきたいと思います。


 


 


弊社スズキビジネス石油事業部では、昭和シェル石油㈱をはじめ各種メーカーの潤滑油製品の取り扱い、

分析や作業を取り扱っております。お気軽にお問い合わせ下さい。

詳しくはこちら⇒  http://sekiyu.suzuki-business.co.jp/lubricant/


2015/08/19

こんにちは

潤滑油担当の大木です。

前回に引き続き潤滑油基礎知識の第二回目をお送りします。

 

 

第二回となる今回は、“粘度”“添加剤”についてお話ししていきます。 

 

 

それではまず、 “粘度”について説明していきます。

潤滑油において粘度は非常に大切です。そのため潤滑油は用途以外にも粘度によっても分類され、

必ず粘度グレード(番号)が明示されています。 

粘度グレードは、それぞれ基準となる温度での動粘度によって決められ、一般に自動車用潤滑油に関しては

SAE(米国自動車技術者協会) によって定められており、工業用潤滑油ではISOによって定められています。

その他、外国規格やメーカーによる粘度グレードが用いられる場合もあります。

ISOの粘度グレードは40℃での動粘度によって定められており、その時の動粘度が粘度番号になります。

例えば粘度グレード32の潤滑油は、40℃において32m㎡/sということになります。

また、潤滑油はその粘度を規定通りに作ることは困難なので、ある温度における動粘度の範囲を規定して、

その範囲に入っていればよいことになっています。

例えば油圧作動油のISO粘度グレード分類のVG100は、温度40℃において最低動粘度が90m㎡/s、

そして最高動粘度が110m㎡/s なので、この範囲に入っていれば粘度グレード(Viscosity Grade)は

VG100となります。

 

 

続いて “添加剤”について説明していきます。

原油から精製した基油そのままでは、性状や性能に限度があります。複雑で過酷な機械の使用条件では、

潤滑油に対する要求も多岐に渡ります。このような要求に応えられるよう、新しい性質を与えたり、不足している性質を

補ったりするために、添加剤を加えます。潤滑油の添加剤には次のようなものがあります。

 

(1)耐摩耗剤

高荷重下あるいは低速度下の境界潤滑領域で、油膜と金属表面の酸化保護被膜が破れた時に、

金属表面と反応して別の被膜を形成し、金属面の摩耗を防止します。

(2)酸化防止剤

潤滑油が使用される状況を考えると、空気との触れ合い、油温の上昇、水分の混入、各種金属との接触など

潤滑油の酸化、劣化は避けられません。酸化防止剤は、これら酸化反応速度を遅らせ、使用油の寿命延長を行います。 

また、酸化防止剤と防錆剤だけを含む潤滑油をR&Oタイプ油といいます。

(3)清浄分散剤

主にエンジン油において用いられる添加剤です。エンジンの汚れは燃料の不完全燃焼生成物、

潤滑油の酸化生成物によります。

これらはピストンに付着したり、オイルタンク内で凝集したりしてエンジンの不具合を起こす原因となります。

清浄剤は汚れをピストンに付着させにくくし、分散剤は汚れを油中に細かい粒子の状態で分散浮遊させる作用をします。

したがって、清浄分散剤を加えた潤滑油をエンジンに用いると、油は早く黒くなりますが、

これはエンジン内を清浄に保っている証拠です。

(4)粘度指数向上剤

パラフィン系油の粘度指数は95~110程度ですが、より広い温度範囲で同一油を使用する時は粘度、

温度特性の良い油が必要です。

このような時は高分子化合物(ポリマー)を添加します。ポリマーは糸くずのボールのような状態で浮遊していて、

油温が高くなるとこの糸くず状がほどけ、周囲の基油と相互作用し、粘度を上昇させます。そのため油温が上昇しても、

この混合物は粘度が低下しない結果になります。ただし、ポリマーはせん断によって化学結合がせん断され、

小さな分子に変わっていくことが問題となります。

(5)流動点降下剤

潤滑油は低温になるに従って粘度が増加するとともに、油中に含まれるワックス分が析出し、

ワックスの結晶が結合し合って流動しにくくなります。流動点降下剤は、この析出ワックス分の結合を妨げることにより

流動性をより低温まで保持する働きをします。

(6)油性剤・極圧剤

油性剤は金属接触を減らし、摩擦、摩耗を低減するために添加されます。炭化水素基と極性基からなり、

金属表面に吸着することで表面を保護します。油性剤は混合潤滑領域において有効に作用しますが、

高荷重条件では吸着膜を突き破り、焼付きがおきるようになります。

極圧剤は、このような極圧条件で摩擦、摩耗、焼付きを防ぐために使用されます。硫黄系化合物が代表的で、

表面に吸着したあと、せん断応力の低い硫化鉄が無機反応被膜として生成します。

(7)防錆剤

金属表面に吸着膜を形成して、空気や水などと接触するのを防ぎ、錆の発生を防止します。

また、酸化防止剤と防錆剤だけを含む潤滑油をR&Oタイプ油といいます。

(8)消泡剤

使用中に攪拌され空気をかみ込んだ場合など、泡が激しく発生して消えにくいことがあります。

消泡剤は発生した泡の泡膜に吸着・侵入して泡膜を破壊する効果を持ちます。

(9)摩擦調整剤

摩擦調整剤は、潤滑油の摩擦係数を上下させる働きをします。特に摩擦係数を下げる場合に多く用いられ、

境界摩擦が存在する、ガソリンエンジン油、しゅう動面油などで使用されています。

(10)抗乳化剤

水とのエマルションを破壊する作用を示し、潤滑油の乳化を防ぐ働きをします。

 

この他にも腐食防止剤、付着性向上剤、乳化剤や着色剤、蛍光剤などがあり、

それぞれが用途によって添加されています。

 

 

第二回目の潤滑油基礎知識については以上です。

最終回となる第三回は、要求性能についてお話しします。

 

 

弊社スズキビジネス石油事業部では、昭和シェル石油㈱をはじめ各種メーカーの潤滑油製品の取り扱い、

分析や作業を取り扱っております。お気軽にお問い合わせ下さい。

詳しくはこちら⇒  http://sekiyu.suzuki-business.co.jp/lubricant/

2015/06/25

こんにちは

潤滑油担当の大木です。

 

 

今回のブログでは、みなさんの家庭でもよく使われる自動車やバイクのエンジン油、ギヤ油をはじめ、

大きな工場で様々なものを作るために使われる機械油についてお話ししていきたいと思います。

 

 

今回は“潤滑油”というものが一体どういったものなのかと、“基油”についてお話ししていきます。

 

 

潤滑油とは、基油(ベースオイル)をもとにして使用目的に合わせた性能を持たせるため、

各種の添加剤を加えています。

基油は、各種粘度の基油を混合して目的の粘度に調整しています。

また、添加剤は用途に応じて何種類も組み合わせる場合や

厳選された基油のみで添加剤を使用しない場合もあります。

 

 

それでは、“基油”について詳しく説明していきます。 

基油には、原油を精製して作る鉱油と、化学的に合成された合成油があります。

API(米国石油協会)では、基油を基本的な性状性能によってグループⅠ~グループⅤの5つに分類しています。

溶剤精製された鉱物油はグループⅠに分類され、水素化処理精製され硫黄含有量、不飽和分の少ない鉱物油は

グループⅡに分類されます。また、高度水素化分解精製され硫黄含有量、不飽和分の少ない高粘度指数鉱物油は

グループⅢに分類されます。(米国などの海外では合成油と表示されることが多いです。)

合成炭化水素のPAOはグループⅣに分類され、グループⅠ~Ⅳ以外のものはグループⅤに分類されます。

PAOをはじめとした合成油については、今後別の機会で詳しく紹介していきたいと思います。 

 

本日はここまでです。

粘度や添加剤の種類、要求性能については第二回目以降にお話ししていきます。

 

 

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2015/06/24